出会い系の罪と罰と、罠。その2

「出会い系の罪と罰と、罠。その1」からの続きです。

 

 

僕と彼女が知り合った頃に、少し話を戻したい。



出会い系でのメッセージのやり取りの時点で、僕は今日のアポの勝利を確信していた。

最近、僕は出会い系での出会いが面倒になってきていたので、ほとんど自分からは新規の女の子にメッセージを送らなくなっていた。そんな中、珍しく女性側からメッセージが届いた。それが二週間ほど前の出来事だった。

それからお互いに他愛のない話をしつつ、共通点や趣味を探り、やがて一緒に飲みに行こうという流れになった。そして、Sなの?Mなの?と言ったややエロい話 にも自然と乗ってくる彼女。出会い系では事前に多少エロい話で相手の出方を見ておくべきだ。うまく話題を誘導すればなんてことはない。
しかも彼女とは互いの写真もしっかり交換した。僕が冗談で「抱くぞお前ww」とかいっても「きゃーww」などと応えてくる。「きゃーww」とはなんだ、「きゃーww」とは。

ストリートナンパやクラブナンパで言えば和み完了状態。しかも彼女は次の日も休みと言っていた。
あとは会って成り行きに任せる、もしくは自分で、会ってすぐホテルにいくかデートを楽しむか的なコントロールをするだけ。
だから僕は珍しく完全ノープランだった。通常、アポでは相手を自分の得意のエリアに誘い出し、ゴール地点、例えばLHでのセ_クスに照準を合わせてプランを逆算するのがセオリーだが、そんなものよりデートを存分に楽しもう!という殿様状態だったのだ。

なにせ、抱くぞww→きゃーww、の演技空間的な確約アポなのだから。
まぁ、それが全て伏線になっていようとは思わなかったけれど…。

 

f:id:OZZ:20130925194915j:plain

Photo by I

 


「私、まだお腹すいてないから散歩しようよ!」

彼女と、空腹を隠した僕は、待ち合わせ場所から、すこし離れた繁華街に移動することにした。

とりあえず本気で気温が、風が気持ちいい。そして彼女とは生まれた地方が比較的近く、方言も似ていて楽しい。もはや何も考えなくても盛り上がるし、フィーリングもバッチリだ。なんならネグもいらない。唯一入れたのは肌の白い彼女に、綺麗なエリンギみたいだといったくらいだ。エリンギってやらしいカタチだよ ね、という言葉はとっさに喉の奥にしまいこんだけれど。

確約されたアポとはいえ、一応小心者で、ガツガツできない僕は、ここから手をつなぐルーティンをいれた。だがルーティン説明途中で手をつなぎだす彼女。え?なんだこれ笑
ノーモア、ルーティン笑

それからそのまま小一時間、黄昏の街を背に散歩をし、はしゃいでは戯れ合って話し続けた。IOI確認がてらの「ストッキングとタイツの違いルーティン(別名デニールルーティン)」を投入したりして、ゆるやかに時間は流れた。


辺りがオレンジからブルーに変わりきった午後7時半、ご飯を食べに。


アウェーの土地で、しかも下調べをロクにしなかったせいで、店選びに戸惑いそうになる。が、そのタイムロスは盛り上がった感情の流れを潰しかねないので、サクッと店を選んで入店。汚いとかクソマズイとかじゃなさそうで、且つ値段も無難なら今日は問題ない。
大抵、アポでは横並び席がいいとか、個室がいいとか、少し賑やかとか、暗めがいいとか、雰囲気がいいとか色々と「より良い状態」の店を選ぶのが通常だけど、今回の雰囲気的にそんなことは無用だった。
唯一気にするとすれば、にんにくかネギの入っていない料理を選ぶ、くらいのものか。

席に座る。ここで初めて対面になった。僕が彼女の目を見つめると彼女は少しうつむいた。

僕が笑顔で「え、どうしたの?」というと、彼女は

「照れるんだもん」

とはにかむ。そんなこと言われて照れるのはこっちだバカヤロウ。
こんなふうに、奥ゆかしい人ほど魅力的だ。そして俺のスマイルがキマったな。とかその時は思いながら…。

少しお酒を飲み、食事を済ませ、お腹が満たされた僕らは、彼女の提案で近くの景色のいい大きな公園に向かった。
週末の夜、公園にはベンチが沢山並び、カップルがそこに一つ空け間隔で座っている。闇夜に紛れて逢瀬を深めているんだろう。
そして他聞にもれない僕らも隣と一つ間隔を空けて、そこに座った。

静かな公園。繋がれた手。少しトーンを落としてぽつりぽつりと会話を交わす。
一瞬の静寂。

そろそろキスフェーズだ。
この雰囲気、慣れたナンパ師やオラオラ系の男ならただ強引にキスするだけだろう。それがスマートさだと思う。
が、ここでも小心者の僕は一応キスルーティンを使う。あの有名なナンパ師の本「ザ・ゲーム 退屈な人生を変える究極のナンパバイブル」にも載っているべたなやつだ。
そして

「じゃ、試してみよっか」

といって顔を近づけると、くいっと顔を反対に逸らす彼女。
一瞬、あれ、ヤバい、なんか間違ったか?と内心とても焦った。完全拒否じゃね?と思ったがここまで来たらやるしかない。僕は強引に彼女の顔を引き寄せキスをした。瞬間、めちゃくちゃノリ気な彼女。
…女はわからん!!
僕はアポの度、毎度こんなことを思っていると思う。一度キスをやめると再び顔をそらす彼女。
ああ、ただの恥ずかしがりかよ、と安堵し、何度か唇を重ねた。ロマンティックがとまらない。



時刻は22時をまわった所。

僕は相手を必要以上に酒で酔わせるとか、終電を逃させるとかそういうズルい?条件を作る事が基本的に性分ではない。本人の意志で明確にセ_クスならセ_クスする状況を選んでほしい。そう思っている。勿論こちらが相手の気持を察してあげる事も大切だし、誘導も大切だけど。

そろそろ決め時が来た。なんなら引っ張りすぎたくらいだろう。リアルに会ってからのIOIも死ぬほど確認した。さすがに小心者の僕でも

”Don't think, feel.”状態。(ブルース・リー好きの方、すみません)


僕は彼女にストレートに言った。


「今日、一緒に泊まってくでしょ?」


彼女は少し戸惑いながらも、はにかんで…





頷いた。






まさかこの幸せなやり取りの中に、悲劇が隠されているとは、この時の僕は、考えてもいなかった。



その3に続く…。