目の前で価値観も道徳も串刺しにして、初めてナンパを教えた日。〜その4〜

タクシーから降り立つ。

新宿歌舞伎町の朝7時。

もはや景色は朝そのものだった。

 

f:id:OZZ:20150125160620p:plain


歌舞伎町は夜の喧騒から排泄された汚物や腐臭で空気はブレードランナーで描かれた世界のように淀んでいた。
そこを行き交う飲み帰りの人や、スカウト、ホスト、キャバ嬢、そして僕らのような訳の分からない輩が、朝の陽射しに死の宣告をされながら、その人としての輝きのようなものを蒸発させてゆくようだった。
さっそくドンキ前でホスト遊び帰りらしい、肌を下品なほどに露出させたギャル二人組を見つけ、目にクマをつくった哀れな友達の背中を押した。

「いってこい」

「え、あれ?」

「じゃ俺がいく。」

躊躇などない。六本木からわざわざここまで来て時間の無駄は百も承知だ。だからこそ少ないチャンスを活かす。常人がどう考えたってバカなことをしているのは自覚している。

もとい、僕からすれば、大して仕事や彼女が好きでもなく、特に目的もなく生きている人の人生は、こんなことの繰り返しで出来ていると思っているが。

さぁロスタイムのスタートだ。

さっとギャル二人の前に回りこむと、「おはよう!」と勢い良く声を掛けた。
そして彼女らの顔をのぞき込むと、そこにはクレンジングオイルでメイクを落としかけたピエロのような顔の、十年選手の案山子がいたのだった。僕は側溝から立ち込めるヘドロの溜まった独特の臭いを、鼻いっぱいに吸い込むと、吐き気をもよおしながら、まくし立てるように話し続けた。

友達に立ち回りを指示しながら、この下品な案山子とセックスすることが、もう罰ゲームのように思われた。仮に連れ出しても一緒に話したいことなどあるだろうか?
彼女らの「アナ」意外に彼女らに求めるものは一切無いような気がした。
友達は楽しそうに、且つ顔をひきつらせながら、頭の上で言葉を探しているようだった。舞台でセリフが出てこなくなって追い詰められた俳優のようだった。
僕らは二人して彼女たちを「拒否」しながらも「誘惑」するという、午前3時の居酒屋店員のような振る舞いをしていた。いらっしゃいませ〜の声にウェルカムな気持ちが一ミリもない、そんな。


帰るよ、帰る、という彼女ら。そしてそれを引き止めることもおざなりにして、一瞬で赤の他人のように振る舞って僕らはそこを立ち去った。最後に「ありがとう」とでも言えってか、声を掛けておいてなんという態度だ、そう言われてもしかたがないほどに、僕は僕の「拒否」をぶつけていたのだった。これは彼女らに対する苛立ちだけではなかった。自分の現状の生き方に対する拒否、そんなに興味のない対象に、友達をナンパさせたいがために声を掛けなければいけないという、自己矛盾に対する拒否だったかもしれない。

ナンパに訓練は必要だが、それがまるでボーリングを練習するようにできないのは、やはり相手が血の通った人間で、道具ではないからだ。相手の女には誰か母親から生まれた人生があり、少なからずそれを見守る誰かが常にいて、その子に幸せになってほしいと願う家族がいるのだ。

それでも相手を実験材料にしてナンパは磨かれていくのだ。自己中心的にならざるを得ないこの行為で誰かを傷つけても、それにいちいちかまっていられないのだ。
だけど無視される、ただ思い通りにならないという幼児的なストレスを、彼女らにぶつけて、僕らは去った。



友達の目は徐々に光を失っていった。だがそれと同時に僕の言うことに従順になっていった。疲労と僕からのプレッシャーで彼は容易に洗脳できるような、ある種のトランス状態にあった。大脳新皮質の思考能力や判断力がチカラを失い、裸のメンタルが、ズルリと露出していた。



今度は一人で歩いているミニスカートの女がいた。格好がエロいか、ある程度の顔ですぐ落とせそうか、これは経験値稼ぎでも何でもない。雑魚を探してぶちのめす、そんなクソッタレゲームだ。

今度は一人で行かせる。波に揺れる利尻昆布みたいな足取りで友達は女に絡みついていく。声掛けは柔らかく、反応があれば、距離は徐々に詰め、他愛もない話をしているようでなぜ声を掛けたのか、なぜ自分がここにいるのか、これからどうしたいのかを言えと伝えた。彼はその教えを守り、オープンした女に徐々に詰め寄った。しかし後ろを歩きながらその会話をよく聞くと全く笑えないトークと未来の見えない展開をしているのだった。
始まったナンパは邪魔しない。かと言って助けることもしなかった。
イケメンのクソしょうもない並行トークここに極まれり。などとにやけている自分にも、ナンパを始めて抜け落ちた魂の所在を求める声が、何処からかこだまするのだった。
そうして女と友達は何故か4ブロックほどの道を3周するという、謎のLAPを刻み、女は明らかに目的がないにもかかわらず、友達は女を放流したのだった。


7時45分。
20分に及ぶ並行トークが流れ、友達の気力は、遭難して最初に死ぬキャラクターのそれだった。僕自身も膝から下は泥に足を突っ込んだような重さで、呼吸は浅く、目はかすみ、アイデンティティが右に二十センチずれたような虚無感があった。
友達は言う。

「もう帰ろうや」

その一言が僕のやる気に火をつけると、なぜお前はわからないんだ。だからお前は…。

「八時まではやる、なんのためにここまで来た?」
「お前がナンパを教えてくれって言ったんだよな?」
「ナンパなめてんのか?」
「おい、きいてんのか」

僕は彼にまくし立てると、数少ない道を行き交う女に、ドンドン行かせた。
彼は必死に声をかける。必死に。愛想よく。疲れた自分をごまかして。
だが彼の姿は明らかにもう、即れる雰囲気ではなかった。
声や表情にチカラはなくなり、動作は鈍亀。トークは刺さらないしイメージもない。



そうして諦めかけていた矢先に、スラっとした脚を丸出しにしたショートパンツの女が歩いていた。後ろ姿だ。上着は分厚いコートというアンバランスな出で立ち。即系の匂いがした。スタイルはいい。
もはやこれで最後と、僕は自ら歩み出た。後ろ姿から前に回り込み、顔を覗きこんでみると、意外にもナチュラルなメイクをした普通の女の子がそこにはいた。

話しかけると反応がいい。朝まで友達とカフェにいたらしい。
そのまま帰らずに買い物したいからどうしようかと思っていたそうだ。僕は友達そっちのけで時間制限のルーティンや旅行者のルーティン、一人より三人のが楽しい、などと彼女を追い込み、カラオケに誘い出し、僕と友達と三人で「連れだし」のステージへ突入したのだった。





その5へ続く。

目の前で価値観も道徳も串刺しにして、初めてナンパを教えた日。〜その3〜

六本木。24時のウェンディーズ
まるで社会で何の役にも立たない、馬鹿な高校生のように、僕と友達は端っこの席を、我がモノ顔でのっとっていた。
立ち込めるポテトフライの油の匂いに、僕はふと我に返った。
場末のファーストフードで膨張したウシガエルのようにふんぞり返って、偉そうな姿勢でカッコつけてあがいてみても、それで生きる価値なんて見つかるはずもない。
逆に見えてくるのは、自分がそんな場所でふんぞり返るような、その程度の人間と知れるばかり。
そしてそれが客観的にわかってしまう程度には頭の働く、僕はホワイトカラーな、自己増殖型の自己嫌悪マスターだった。
娯楽や遊びを、それはそれと割り切って遊べればいい。
やりたくもない仕事を抱えて剣山の上に座っているような毎日に辟易してる人なら、きっとその娯楽はその人にとっての、生きる意味に違いないかもしれない。
でも残念ながら遊びや娯楽は、ただ一時の蜃気楼で、今の社会の頂上に立つ頭のいい大人たちが、バカに寄り道をさせて麻痺させようと、あの手この手で邪魔をしてくる、それはそれは甘い蜜なのだとも思う。
蜜壺に落ちた僕らは、とびっきりの甘さの中で知らぬ間に窒息し、やがて次に蜜壺に落ちてくる誰かのための蜜に同化して、壷の持ち主だけが笑うのかもしれない。それはまるで西遊記の金角と銀角の持つひょうたんのように…。

 

f:id:OZZ:20141117020704j:plain



ウェンディーズから出た僕らは、コンビニで買ったウォッカをコーラに混ぜながら一気に飲んだ。
僕は目が泳いでナイーブになっている友達の尻を蹴りあげ、午前一時、クラブへ向かった。
どぎまぎとする友達を尻目に、実は僕自身もわけのわからぬ緊張感に高揚していた。
すでにコンビニで買ったコーラとウォッカで酩酊していた僕らは、それでもまず乾杯をした。
そしてその乾杯から10秒後、絶対に自分からはナンパできないという友達を、通りすがりの女の子にけしかけた。もうこうなれば有無言わせぬ。
普段は鎖につながれた犬が、広い公園で突如鎖を外されて、飼い主に振り返って戸惑うような視線を友達が投げかけてきた。僕はもう地獄の門番のように、彼に冷たい視線を返した。
そこから先に何が待っていようとそれはお前が選んだ道なのだ、そう思った。
お前はお前を捨てるためにここにきたんだろう。

かわいい女の子にしか興味がないといういたいけな友達に、クラブにいる、ありとあらゆる女の子をナンパさせた。長身の美しい子、金髪でけばけばしい子、黒髪で大人しそうな子、さしてかわいくない子、ぽっちゃりした子、暇そうな子、踊り狂っている子、馬鹿そうな子、賢そうな子。

徐々にエンジンがかかってきた友達はしかし、まるで古いアメ車のように燃費の悪い声かけを繰り返した。テンションが不完全燃焼の排気ガスのように漏れ出す。見ていて痛々しいくらいの黒い煙が、友達の全身から溢れ出ているようだった。観察をしない、自分本意で面白くもないトーク。やり場の困った目線が宙ぶらりんになって、ゆあーんゆよーんと空中ブランコのようだ。


しかし友達は持ち前の器用さと、その顔面スペックによって、徐々にクリーンな排気を行うようになっていた。良くも悪くも友達は、クラブという場に馴染み、違和感なく溶け込んでいった。それはまるでハワイでアロハシャツを着てしまうマヌケヅラの観光客のように。僕は彼自身がクラブの外の世界で持っていた本来の魅力も、輝きも、オリジナリティも全て捨てさせようとした。僕はただ友達に、クラブでのナンパたる、それらしい何か演じさせるべく、模範させていた。
彼は徐々に自分の得意な物を掴みつつあった。特にその顔面スペックによるアドバンテージは非常に大きく、初戦のクラブナンパにしては、傍から見てもイージーゲームのように見えた。

だが無情にも時は過ぎ、クラブは終わってしまった。
僕は僕でクラブを楽しみ、コンビで彼を助けるようなこともほとんどなかった。

なぜ助けなかったのか?それは一つの苛立ちに起因するものだったのかもしれない。

もちろん彼の顔面スペックへの嫉妬もあっただろう。
しかしそれより大きかったのは、自分がクラブに行き始めたとき、誰の手も借りず、緊張と絶望の中でナンパをし、あるいはasapenさんのブログを読み漁り、ニール・ストラウスの「ザ・ゲーム」を読みまくって勉強したからかもしれなかった。
友達は、たかがナンパを、単なる女遊びを、僕が面白がりながら教えてくれる、無料のレッスンとでも思っているのか?ということである。
本当にやる気のある人間は、他人から何かを言われて変わるものではなく、自分から何かを変えようともがくものである。教えてもらうという事は、その人の生きてきた時間を、学んだことを、圧縮して受けとれるということだ。教えてもらっているということに、本気で感謝のできない人間を誰が教えたいのだろう。ナンパをして何かを学んできた時間は、僕にとっても小さなものではないのだから。最も大切なものは自分自身の時間なのだから。(それは切り口を変えれば、ナンパした女の子が、自分という人間と一緒にいたいかどうか、にも関わる重要な問題なのだか…。)



朝五時。
うっすらと夜のブルーの残る六本木の空。
クラブを出た僕たちはすでに疲労困憊だった。その日夕方から飲み始めた酒と、非常に高揚したナンパのテンション、そしてなんやかんやと踊りまくってしまった結果、もはや僕も友達も、浦島太郎最後の姿だった。

「どうする?」

そう聞いてきた友達の顔に、「もう疲れたし帰るよな」という片鱗がみえた。
それを見た途端、僕は、身体の奥底で何かのスイッチが入る音を聴いた。友達のその表情を見た瞬間に、地獄の門番としての使命を、僕は急激に燃やしだしたのだ。
クラブの中での、ちょっとやそっとのガンシカでできた、生傷ぐらいでは帰さない。その、あどけない顔をしたイケメン君を、血みどろになって反吐が出て、朝焼けのストリートにのた打ち回るゾンビになるまで、ナンパをさせてやろうと思った。

「お前、ナンパってこんなもんで終わりだろうとおもってるな。ナメてるな?」

「いや、ナメてはないけど。でももうクラブは終わったし、帰ろうぜ」

「は? 今からストリートできるじゃないか」

「え、今から!?まだやんの?嘘だろ!?」

そうしてクラブ前の路上に立つ僕らの目の前を、女の子二人組が通りすぎた。

「…じゃ、あの子らにいってみようか」

「…」

「はやくいけよ!」

ここからが、楽しい楽しいナンパの始まりなのだ…。








その4へ続く。


目の前で価値観も道徳も串刺しにして、初めてナンパを教えた日。〜その2〜


「ぶっちゃけ愛ってなんなの?」

「マジで惚れるとか意味がわからない」

「恋人とかいらなくない?」

「自分一人で生きていけるっしょ」

「ハメるマ◯◯を見つけりゃいいんでしょ」

友達は続け様に、フワフワした調子で僕に言ってきた。

「てか、一回ナンパ教えてよ」

僕は直感的に思った。
こいつにナンパを教えてしまうと、単なるナンパマシンにしてしまうんじゃないかと。言い方を変えると、ダークサイドに落ちるんじゃないかと…。その1の出来事が起こる10時間前の、23時の出来事だ。

 

 

f:id:OZZ:20141005161524p:plain
レンブラントの自画像

 



彼は僕のナンパ遍歴を最近知った。僕が話すナンパで起きた出来事やいい思い出、苦々しい思い出、六本木で一人泣いたこと、友だちができたとこ、色々なことを赤裸々に話した。
そして男子なら当然の帰結として彼は僕に、ナンパに興味を示した。ナンパがしてみたいという彼はなまじ何もしなくてもモテるし、多才で話も面白い。身長こそそこまでないが、他は揃いも揃っている。そして何より現状でセフレもいるし、彼女らは恐らく結構可愛い。だが、しかし神が二物を与えぬとはこのことで、彼はというとこんな人間だったのだ。


愛とか人を好きになる感情がわからない。


本当に彼は理解不能だといった。彼女がいたこともあるけど、好きになんかなった事はないと。相手が恋愛そのものに没頭すればするほど冷めていく、と。
そしてそんな彼は、戸惑う僕に言った。

「ナンパで本当に好きになれる人に出会いたい。それは本当だ。出会いたいんだ、何もかも忘れて、苦しくなって、没頭できる相手に。…出会えるかな?」

僕のこれまでの経験値から言える、真っ直ぐな答えはこうだった。

「出会える…かもしれないが、出会えない、あるいはハードルだけがドンドン上がっていって結果として出会ったことにならない、永久に捜索だけが続くかもしれない、そんな状況になるかもしれないぞ。俺自身、今や付き合うということへのハードルが上がり、そしてそれにもかかわらず自分のナンパスキルでは落とせないレベルの女性を求めてしまってる」

「そうか…」

そして彼は少し沈黙した後、更に質問をした。

「ナンパで新しい世界は拓けるかな?」

僕は彼のミゾオチに鋭くナイフの先を突きつけるような語気で答えた。

「俺は、お前が大きな夢を持っているのを知っている。だからこそ言うが、自分のやりたいことや将来の目標に裂くべき時間を、ナンパにハマって消耗するようになると、俺はお前をカスだと思うだろう。それにお前のレベルだとナンパしてセ_クスできるようになるのはぶっちゃけ簡単だと思う。だからこそいうが、自分のレベルで相手できる女を抱き続けても意味は無いだろうな。セ_クスがしたいだけならそれでもいいが、それなら今で十分だろ」

彼はいきなり突きつけられたナイフを、小さな笑いでごまかした。

「あはは、そうだけど…」

「お前がナンパスキルによって本当に惚れる女を掴みとり、更にはそういう女に、外見や内面や社会的地位から真に釣り合うことが出来るようになれば、きっと少しは違う世界が現れるんじゃないかと思う。まぁ、俺はできていないけど…」

「でも社会的地位がなくても、そこそこのスペックでも美女は抱けるだろ?」

「時折の運でそういうこともあるだろうな。でも運で美女を抱くことは、宝くじを買って当たるようなもんで、お前が何か進化する手助けになるか?お前が買わなくて後ろのおっさんが買っても当たったかもしれない宝くじに何か意味があるか?どうせそうなったらまた宝くじを買いに行って、当たったの当たらないのと言って死ぬまで並んで、気がついたら人生の生き方やライフスタイルそのものの向上よりも、宝くじに人生の喜びを見い出す様な人生になるぞ。お前の送りたい人生はなんだよ?」(※宝くじをバカにしているわけではないですが、僕は買いません。価値観は人それぞれです)

「これってナンパの話だよな?」

「そうだ」

「ナンパってこういうことなのか?」

「俺はただ、思った事を言ってるだけだよ。時間を掛けないナンパという行為は、社会的地位は実際関係ないし、顔面もある程度以上であればいいだろう。そして何よりそれを実現するための圧倒的なナンパスキルを持っていれば美女を抱くとこはできる。正直そこまで出来る人は稀だが。俺もできないし」

僕は自分で発した言葉が、彼を脅すどころか、僕自身に振りかかる血みどろの剣のように感じた。俺はなにを偉そうに言ってるんだという気持ち。だが、一年以上ナンパをしてきた結果にもある程度裏打ちがある。だがそれも含めて、自身の言葉が過激派左翼のように自ら総括されられているような、フクザツな気分だった。
そして彼は言った。

「じゃなんで俺が没頭できるレベルの相手と外見、内面、社会的地位なんかで吊り合う必要があるんだ?」

「お前は結果として長期的関係を保ちたいんだろ?付き合ったり、結婚したり、一生愛し続けたい相手が欲しいんだろ?」

「ああ」

そう、それは僕自身も求めているものだ。僕は彼を自分の価値観に誘導していくように言った。

「じゃお前がずっと一緒にいたい人に求めるものはなんだよ?最後に立ち現れてくるのは何だと思うんだよ?」

「ん〜、なんだろう、優しさ?」

「優しいブサイクならゴロゴロいるぜ」

「且つ美貌?」

「たしかにあるが、年をとったら意味ないぜ」

「…」

「というか、さっきから美女美女といってるけど、美女とイイ女は違うだろ?」

「たしかに」

「美人でスタイルも最高だが、話をしても何もなく、他人への礼儀もなく、品もなく、プライドや見栄ばかりあって、自分がいいと思った相手に取り繕う能力には長けているが、そういう自分に客観性もない。そういう女はさすがに極端だがな」

「うん、極端だ」

少し僕らは笑い合い、更に僕は続けた。

「それだったら美人でスタイルもよく、話は深く面白いし、品もある。幅広い視野で自分を客観的に捉えながら、他人とも柔軟に接し、且つ自分で主体性を持って行動し、外見だけに頼ることなく内面や社会的地位を磨こうとする人。さぁどっちと一緒にいたい?これも極端か?」

「うん、極端だ。だが間違いなく後者だ」

「じゃ、お前もそんな男になるべきじゃないか?」

「…間違いない」

彼は真剣な眼差しで静かに頷いた。俺も自己暗示が完成しているなと自嘲した。
時刻は23時だった。
一息ついた。すっかり硬くなってしまった空気を和らげようと僕は言った。

「ナンパを、沢山の女とセックスする技術と思うか、それ以上にナンパを通して人として何を目指すか考えてくれたらいいと思う」

「わかった」

「…とまぁこれは、俺が折角お前に教えるならと思って言いたいことを言ったまでのことだ。一つの意見として聞いてくれればいいから」

「…わかってるよ」

「それに今日はクラブだ。そんなに気負う事もない。というかクラブを楽しめない奴と一緒にクラブには行きたくないからな。今日は楽しんでくれ」

「おっけ〜!」

「で、ナンパについて勉強してきたか?」

「してない」

「は?」

「今日は初めてナンパをする、だから敢えて現状の自分だけでどこまで出来るか確かめたいんだ」

僕はいくつか言いたいことを飲み込んで、わかったと了承した。

「ああ・・・緊張してきた」

僕は小刻みに身震いする友達と笑いながら家を出た。

「お前、そわそわが身体から出てるぞw」

「そりゃ緊張するぜ、あああああ!!!」

僕らはようやく電車に乗ったところだった。






その3へ続く。


目の前で価値観も道徳も串刺しにして、初めてナンパを教えた日。〜その1〜

ハッと目を覚ました。
一瞬ここがどこで自分がなにをしていたか思い出せない。
中学校の屋内の非常階段のような場所。ところどころボロくて汚れた壁にリノリウムの床。飾りっけのないみすぼらしい空間に僕はぽつんと座っていた。腕時計を見ると朝の九時二十分を回ったところ。
そうか、僕が階段に腰掛けてまだ十五分しかたっていないのか…。
カラオケの階と階をつなぐその階段の中程で、僕は時間から取り残された廃棄物のようにその時を待っていた。それは、ナンパ師でもナンパ仲間でもない僕の普通の友達が、新宿のしがないカラオケルームで、どこの誰とも知らない女=A子とのセ_クスが終わるのを。
オール明け、ぼんやりとした頭で考えた。今友達がA子にセッセと腰を振っているのか、あるいはまだ交渉しているのかと。

 

f:id:OZZ:20141001012319p:plain

 


話はさかのぼる。
友達をトイレへ一度行かせ、二人きりになったカラオケで、A子に迫る僕に、彼女は言った。
「私、二人としか付き合ったことないし、経験人数も二人なんだよ?」

彼女は二十一歳だった。

(交渉など必要もないという場面もあるけれど)セ_クスへの交渉は話で進めるのか、あるいは身体で進めるのか?それを決めるのは、僕が提示する性的な領域に相手が答えていくことで証明されていく。ある時は言葉であり、ある時は身体である。
A子は新垣結◯のように身体は細く、肩ほどの長さの茶髪、可愛いというよりも美人系。
デニムのショートパンツからみせる脚、そして状況に戸惑う21歳に、僕は言った。

「逆に二度とこんなことする機会はないかもしれないよ?これも経験じゃない?」

「えー…でも。あ、それに友達は?帰ってくるよ?」

「大丈夫(予定調和さ)」

「いやいや。でも彼氏としかしたくないし」

「なんで?」

「なんとなく…」

「なんとなく?(なんとなくなどイエスの言い換えであって…)」

「…」

言葉が終わりを告げ、身体が走りだす瞬間が来た。
僕はA子のショートパンツを下着ごと脱がせにかかった。
A子は、え、え?と戸惑う。でも結局は腰をサラリと浮かせて、自ら脱がしやすくした。それはまるで炙ったトマトの皮のようにするりと。
そしてA子は、迫る僕から、逃亡を続けることを諦めたようだった。
そしてまた、最後の最後で、言葉でもって自分を納得させるように、こう締めくくった。

「まぁ、彼氏じゃないから、逆にいっか…」

A子の声はか細く、そして、汚いカラオケの壁紙に吸い取られていった。壁はただヤニで黄みがかった以上に、少し黒く染まったようだった。

 

 


終わった。

五分ほどの出来事だった。ある意味でナンパシロウトの友達が、ヘタすると途中で帰ってくる可能性も考えた。だから、結局何も集中できない刹那的な即だった。
A子は床に落ちた、デニムのショートパンツと白いパンツが、ごっちゃにクシャッとなった塊をほどき、粛々と履いた。
僕は心の中でこう思う。少し後にはまた貴女は脱ぐんだよ?と。
A子は口を開いた。

「ね、関西から旅行できてるとか嘘でしょ?」

「…」

僕は一瞬言葉を考えたが、白状した。A子には全てお見通しだったようだ。

「嘘でごめんな、でもおもろかったやん?」

「そうだけどw」

「逆にA子は朝の新宿でなにしてたの?」

「カフェだよ、ほんとに」

「何も隠してない?」

「ないわww」

…後にA子は、僕のしょうもない嘘など凌駕する破壊的な嘘を言い放つことになる…。


が、僕は滑稽にも、即をした事での男と女の優位性、言い換えるならば相手を支配できたという見せかけの安堵の感覚に酔って、目の前の彼女を信じて疑わなかった。

僕は友達が遅いから探してくる、とその場を後にした。A子は僕が部屋を出る直前に言った。

「帰んないでね…」

ふとつぶやいたA子の言葉に、一瞬僕は足を止めた。
A子を見た。僕は言った。

「荷物置いといてるやん、帰らへんわ」

といいながら、もう一人の僕は

「(帰られたら困るのはA子の方だよ、まだ友達の番が残っているから…)」

と腐り果てた一言を、胸にとどめた。
ナンパから少し遠のいていたのに、もはや自分の中で隠していた何かが融け、煮えたぎってきていた。それはナンパを、即を、目的を遂行するための冷静な思考だけれど、同時に全く温度のない、人を人だとも思わない、単なる処理能力に他ならなかった。

友達はトイレの個室で寝ていた。互いに24時間は起きている。
そして交代で部屋へ向かう友達にアドバイスをした。

「もうこんな経験はできないと言え」「貴女がいい女だと思うから抱きたいのだといえ」「全部自分のせいにすればいいといえ」…これらを実際に言ったのかどうかは分からないが、彼はオッケー!といって揚々と部屋に向かった。
そして最後に彼を引き止めて言った。

「経験人数二人なんだ、やさしくな。絶対に無理矢理にはするなよ」

だからなんだ!これでケアしてるつもりか?
チンケな自問自答。いい気になって、誰かにナンパを教えて、これはなんなんだ。
ただのゲームだ、ここはもはやただのナンパゲームの中なんだ!

僕はもうA子の気持ちも、友達の成果も、自分がなにをしているかも考えたくなくなって、非常階段にゆっくりと腰を下ろしたのだった。

何もしなくてもまぶたが落ちてくる。

ああ、眠い。

終わるまで一眠りしよう。

起きたら何かが変わっているのかな。

それじゃ。

さよなら世界。

さよなら…

さよな…ら…

 




その2へ続く。


オンナはナンパしてきた男に、幸福にされるか? 不幸にされるか?

ナンパ師は相手の女の子を不幸にするか、幸福にするか?という井戸端での議論がある。僕は最近、この事について考えている。こんな問題を定義すること自体ナンセンスかもしれないけれど、あくまで僕自身の今の考えでも残しておこうと思い、まさしく徒然なるままに書き記してみようと思う。

 

f:id:OZZ:20140903011810j:plain



今日は寒い。近頃夏はもう仕事をやめたようで、霧のような弱々しい雨が続いた。秋がかまってと、寂しがりやの子どものように肌に張り付いて離さないように。僕はさっき、近所のスーパーでぽつんと二つだけ売れ残った8等分されたスイカを一片買って、真っ黒い種をせっせとほじくりながら、3人ほどの女性とLINEをしていた。
一人目はもう知り合って半年ほどで、既にセ_クスは何度かしているし、それなしで映画に行ったりご飯に行ったりするA子だ。
二人目は彼氏と同棲して結婚も決まっているが、なんとなくこれでいいのかと悩んでいる所を相談に乗っていたら関係を持ってしまい、その後も何度か同じようにそれを繰り返しているB子だ。
そしてもう一人はクラブで知り合った子で一ヶ月ほど前に準即した子だ。この子は僕がギラつくなり、もう遊びではしないからそういうことはやめてとグダったのだが、僕のシュガールーティンにより(今名づけた)関係を持ち、それ以来もう一度会ったという関係のC子だ。
ぼんやりとしていると、LINEの通知が二分おきに鳴り、三人から回覧板のように順々にLINEがかえってくる。僕はスイカを食べながら、山型に切られたスイカはてっぺんの方が総じて甘く柔らかくって、こんな味が続いたらいいのになと、そう思った。

 


A子とは、本当を言えばこうなるはずではなかった。僕は初めて彼女とセ_クスをした時、とても直感的に、付き合ってもいいかもしれないと思った。変な話、顔もかわいい系で悪くないし、性格は明るく穏やかで、ファッションも好きだったし、体の相性も良かった。彼女のつけている香水もとても惹かれる香りで、彼女が帰った後の枕の香りを嗅ぎながら、安らかな気持ちで寝られることが幸せだった。好きな香りの趣味が近いことは、好きな食べ物や、趣味が同じか、それ以上に意味があることのように、僕は思える。
しかしながら、もう一度、もう一度、と会っていくうちに、当時キープしていた子たちや、ナンパで出会う女性たちにふわふわと気持ちが揺らいでいき、本当にこの子と付き合うべきか?ということを迷ってしまった。
彼女も、最初は付き合うかも、という期待を抱いていたようではあったが、次第にその空気が互いに薄れていくのは感じ取れたんだと思う。もしくは僕の態度を見てそうしていったのかもしれない。
僕としても、クラブが好きで週に一回程度行っている彼女をどこかで信用しきれなかったし(お前が言うなという言葉が地獄で待っていたとしても)、明らかに流されてセ_クスしてしまう感じは容易に想像できてしまった。いわんや、友人から、クラブでA子が持ち帰られそうになっていた話や、チューをしていた話などを小耳に挟み、僕が初めてA子とカラダを重ねた興奮は、熱したフライパンに落とした水滴のように、一瞬で沸騰してなくなってしまったかのようだった。
勿論、付き合えば人は変わるし、そういう部分に期待できなくもなかったが、逆に言えば僕が彼女と付き合うという決心をした途端に、僕自身がずっと浮気をしないで過ごせるか?ということに対して自信もなかったんだと思う。僕は次に彼女を作るときはもうナンパも浮気もしない時だと、一応は決めているから…。
何人も彼女を作ったり、平気で浮気するくらいの意志なら、そんな意志しかもてない自分への自己嫌悪が目に見えている。なんというか美学にかけて、という非常に抽象に近いかもしれない表現だが、できるだけそうしたいとは思っている。この遠回しな表現が本当に自分の弱さを物語っていることが、情けない話だろう。
そういったことを含めて、A子が最後の相手になるのか?デスティニーズ・カノジョなのか、そこへの疑問を払拭できずに今に至っているのであった。

 


B子とは、最初会った時に美人だな、と思ったがまさかここまで深い関係になるとは、思ってもいなかった。会った当時ナンパをしていなかった僕は、一見クールそうなB子を見て挨拶する程度だった。そうして半年ほどたってナンパを学ぶ中で、B子は見かけはクールそうで誰ともさして深く仲良くなさそうではあったが、それは逆にB子が人見知りなだけで、本当は寂しがりで、誰かに話を聞いてほしいと思っているのではないか?というある種のコールド・リーディングを使う実験材料となり、それがまさにディープインパクトしたのであった。
それからどんどん仲良くなり、ネグを入れていく中で関係は深まり、一年ほどかけてセ_クスに至ったのであった。彼氏がいて、同棲もし、順調なはずなのに、あまりにそれまでまじめに生きてきたせいで、彼氏がかなり束縛な人物だと気がついてもいなかったし、セ_クスも嫌いなようだった。けれど、僕はB子の奥底に潜んでいた欲望を、開放してしまったのだった。
それほど会うわけではないが、確かにB子は特に悩んでいる時に僕にLINEをしてくるし、それは往々にして彼氏の愚痴であり、引いては人生相談なのだった。僕はそんなB子の愚痴を聞き、会って話しをし、時にカラダを重ねる。B子は彼氏とのセ_クスはあまり好きではないが、僕とのそれには快く応じた。
そうしてB子は僕と別れた後に、話を聞いてくれてありがとう、息抜きになった、また頑張れそう!とメッセージを寄越した。
と、こう書いてみるとなんだか単なる僕の自慢、あるいは村上春樹の小説のような長ったらしい美談のようだが、結局、僕はB子に迷いの道を指し示すことにもなったし、彼氏にとってはただのテロリストでしかない。
僕にとってB子は慰めてあげたい存在である。性格も気立ても本当に良く、美人なのだから、妥協や成り行き、流れといったものの中で自分の意志を失って、疑問符を浮かべたままの不幸な道を歩んでほしくはない、そんな願いがあった。
無論、だからといって彼氏から奪ってまで彼女にしたいか、と言われると、そこまでの動機が見いだせなかった。あるいは僕が20歳の頃に出会っていれば、間違いなく本気で奪いに行ったかもしれないけれど、色々経験をしてきてしまった今となっては、デスティニーズ・カノジョには思えなかったのだった。

 


C子とはクラブで知り合った。クラブに居るいわゆる普通の感じの子、といった雰囲気のC子。甘えたな雰囲気だが話してみるとしっかりしていて、お持ち帰りなどありえない、と言いながら友達を放置して帰っていった。その行為の是非は別にして、C子とメッセージを送り合う中で、会おうということになり、相手の地元に行った。僕のアポ的には負けパターンだが、なんやかんやと相手の家におじゃまし、一緒に寝ることになりギラついたが、C子は最後までグダった。
これまで遊んできた事を明かし、もうそういうことはやめて真面目に付き合える人を探すのだと。しかしこれ、至極言っていることはマトモだが、男を家にいれてベッドにいるという状況が、全然マトモじゃないのだった。これは女子特有の、男子が理解できない状況トップ3じゃないかと思う。結局そのグダは三十分後には、最寄りのコンビニでプリンしか買ってないのにレジ袋をもらってしまい、帰宅と同時に捨てられる運命のソレに類似する結果として、ふわりと葬られた。
そしてその後は、C子の誓いはどこ吹く風となり、また僕は世間体的な負のスパイラルへとC子を導いてしまった。
では彼女にしたいか?と言われると、またソレも違う気がしていて、とても料理が美味かったり、人に気を使えるし、きれい好きで、19歳の僕だったらサマーウォーズばりの「よろしくおねがいしま~~す!!!」という感じになれたかもしれないが、今や二十数回サマーがやってきた僕には、どうも特別な夏には、デスティニーズ・カノジョには思えなかったのだった。

 

f:id:OZZ:20140903011845j:plain



ずいぶんと前置き、というかもはや本編が長くなってしまったが、本題は、ナンパ師は相手の女の子を不幸にするか、幸福にするか?ということである。
この三人の女性を鑑みるに、僕は結局、絶妙なバランス関係の上に立っていて、幸不幸が鏡のようになっているのだと思った。そしてあくまで「現状」というのがバランスのとれている少し幸福な状態であって、それは人生からすると恐らく短期的であり、ホントのところは「いつまでかわからぬ不確かな現状」に過ぎない。
この「不確かさ」というのは言い換えれば、束縛のない自由であり、約束されない未来への希望であり、誰についても責任を負う必要もなく、選択権を与えられ続けている状態である。無重力バンザイである。ゼログラビティである。
何がいいたいかというと、ゼログラビティを今すぐレンタルビデオ屋で借りてこい、そこに答えがある。で、そういうことになりはしまいか?といいたいのだ。
長い目でみれば、略してゼログラは女性は若さを売りに出来る限られた時間を浪費しているかもしれないし、逆に出会いという経験が次への何らかのステップになる可能性にならなくもないのだとは思う。

 


近頃で言えば、僕自身がこのゼログラを相手に、淡い恋愛やセ_クスをする事に疲れてきている気さえする。こう書くと本当にバカみたいな、無自覚な自慢に聞こえるかも知れないが、ホントの気持ちである。
ツイッターにも「即」とか書かなくなってしまったが、それは僕がその報告を、ある種のマーキング行為に近いものと感じて必要性を失いつつあるからだ。
勿論男たるや、セ_クスをしたいという欲望に嘘は付けない。美人を見たら振り返るし、クラブではナンパもするし、新規だ新規だと思う気持ちもなくはない。けれど今の自分から脱却するには、更にむちゃくちゃナンパがうまくなるか=自分が本当に好みのイイオンナを抱けるか、彼女を作るかでしかない気がしている。後者に至ってはそれもナンパで得ようとするなら、結局ナンパがめちゃくちゃ上手くなる必要がある。これは結構、今の僕のテンションからすると即バカルディ注入であるが…。

 


少し話がずれるが、ツイッター上のナンパ師は、ポケモンドラえもんの映画のように、定期的にナンパは承認欲求だなんだと話題にする事があるのだが、少しそうじゃない社会学的な捉え方をしてみたい(とか言ってみたかった)。
それはアメリカの社会学者レイ・オールデンバーグが「都市生活者にとって、家庭と職場以外の第3の居場所が必要である」と述べたいわゆる“サードプレイス(the Third Place)”というものを必要としているからじゃないかな、と、受け売りで思ったのだ。
“サードプレイス”とは、まずファーストプレイスが家であり、一人の完全にオフの時間、あるいは主婦ならば働く場所になるかもしれない。セカンドプレイスが仕事場であり、責任を負い、緊張状態にあるオンの状態。
つまりサードプレイスとはそのどちらでもない領域だ。オンとオフを切り替える場所、中間地点、ありのままの自分を取り戻す場所、いつでも気軽に行ける場所ということである。これが人によっては居酒屋であり、マッサージ店であり、趣味の釣りや、図書館かもしれない。
サードプレイスでは、そこに集まる人は責任を負い合う関係でもなく、いい意味で明確な目的もなく、気楽に無秩序に集まれるところや空間が理想とされる。
緩いフットサルチームが、人員が増えて連絡やユニフォームを管理し始めた途端に面白くなくなるように、誰もが何ものからも自由であれる場所なのだ。そう、先に述べたセフレやゼログラ状態というのはまさにこれに属する存在であり、こと、これが愛についてやお互いの将来についての責任を負い始めると、途端にしんどくなったりするのは、所詮はその状態にいる僕達がサードプレイスとして使いたかっただけなのではないか?という疑問に帰結する。オールデンバーグがサードプレイスが必要といったことを、とりあえずは鵜呑みにするとすれば、ナンパ師に(と言うか普通の人同士にしても)セフレやステディがいることが、サードプレイスを提供しあっているという幸福をもたらしているのだとは思う。
ただそれが一夫一妻的な恋愛観の中で愛憎と混じってはサードプレイスになりえず、それは安らぎではなく不安という不幸を提供してしまうだろう、というのが今回のまとめみたいになってしまった。

 


結論を言えば、社会学的にナンパ師と女性が、双方ともにサードプレイスとして機能している関係性を築けているのであれば、それは相手を幸福にしているということである。よってB子と僕が一番幸福的であり、その後にA子C子が同レベルではないかと思う。

 


さて、さんざん引っ張ってきたが、ぶっちゃけ社会学的に幸か不幸かなんてどうでもいい!!!
…し、そんなもので図れるくらいなら、誰も村上春樹の小説など読みはしないだろう。そして僕がスイカの甘い部分がいつまでも続けばいいのになどといった、国語的な戯言が突いて出るはずもない。
幸福はアリかナシかという二元論では推し量れず、結局はスイカの真ん中から皮に向かって味が変化する事と、煩わしい種という障害を突発的に排除していくことで少しは質が変わってくることに似ていると思う。
しかも種を排除する事、それ自体に人生の面白さみたいなものがエッセンスとして振りかけられていて、いつまでも甘いスイカを食べたければ、運がいいか、努力して育てるしかないのだと思う。ナンパを始めたらきっと目の前にはこれまでの経験に基づいたスイカ畑が広がっているんだろう…。






追記
サードプレイスの話を少し掘り下げると、僕は知り合いのナンパ師さんたちとよく一緒に飲んだりはしゃいだりするが、それこそが僕や彼らのサードプレイスなのではないかと思う。何ならナンパをしているよりの楽しい事すらあり、勿論結果を出さなければ意味がないと思うのではあるけれど、ナンパ師が集まる理由はそこにもあるのではないか、そう思った。

 



photo by Michael Thomas,j / f / photos

暇じゃないのに気になったからクラブで頼む酒の費用対効果を考えた。

クラブに行って一番男性が頼む酒、なんでしょうね?
大抵ジントニックね。モスコミュール?レッドブルウォッカ?スミノフ

面倒くさいので今回はもう本題です!
今回はクラブでよく出るお酒の中でどれが一番費用対効果、すなわち、金をかけずに酔っぱらえるかを六本木貧乏人クラブ学科代表の、僕ことオズ調べで考えてみました。では早速分野別に確認していきましょう。

 

f:id:OZZ:20140708021723j:plain


さて、前述のジントニックについてです。ジンは通常のビーフィーター辺りの銘柄が多いので、それだとアルコール濃度は40%。ジントニックはだいたいジンとトニック・ウォーターの割合は1対3。と言う事はアルコール濃度は40%から13%程度まで希釈されます。そして大抵、クラブでは300ml程度のグラスに大体30ml程のジンと100ml程のトニックウォーターと半分は氷を入れ、満杯までは注がないので、おおよそ130mlでアルコール濃度が13%程度の飲み物、と言う事になります。
これとほぼ同じ類いで有名なのものは、同じようなアルコール濃度を持つジン、テキーラ、ラム、ウォツカといったスピリッツと、炭酸系のソーダ、トニック、コーラ、ジンジャーエールを使った、ジンバックジンリッキー、モスコミュール、ウォッカトニック、ラムコーク(ライムをしぼってキューバリブレとも)辺りがほぼ同じです。オレンジジュースなどを入れた、スクリュードライバーテキーラサンライズ、オレンジブロッサムなんかも同じ。更にウィスキーも一般的に40〜50%程度なので、ウィスキーを炭酸で割ったハイボールもほぼ同じ濃度です。総じてこれらを無理矢理ジントニ系と呼ぶことにします。このあたりのドリンクの価格は六本木のクラブだと700円程度です。

ではこれで、アルコールに対する費用対効果を計算してみます。アルコールの度数は、体積パーセント(%)を意味します。要は度数5または5%のビールとは、100mlに、純アルコールが5ml含まれているビールということです。なので、単純なアルコール量は以下の式です。
(アルコール%×飲酒量ml)÷100

これに130mlで13%のジントニ系を当てはめると、
(13×130)÷100=16.9ml

これを1ml辺り何円かで費用対効果を計算します。式は以下です。
価格÷アルコール量(ml)=アルコール1ml中に対する費用

これにジントニ系を当てはめると
700÷16.9=約41円

すなわちジントニ系は「アルコール1mlあたり約41円」支払っていると言う事です。アルコールって意外にたけぇ笑。そんなこんなで、この41と言うこの数字が大きくなればなるほど費用対効果が悪い飲み物と言う事になりますね。こんな感じで生粋の文系の僕が頭をフル回転した結果をご覧下さい。

 

f:id:OZZ:20140708021839j:plain
次にリキュール系のもの。リキュールと言うのは蒸留酒に果実や香草などの副材料と甘味料、着色料などを加えた酒です。カシス、ピーチ、マリブ(ココナッツ)、カンパリ、ディタ(ライチ)、アマレット(杏)、カルーア(コーヒー)、マンゴー、パッションフルーツ、ミドリ(メロン)あたりです。大体アルコール濃度が15〜25%、まぁ平均して20%として考えます。これらでよく出ると思われるのが、カシスソーダ、カシスオレンジ、カシスウーロン、ファジーネーブル(ピーチとオレンジジュース)、レゲエパンチ(ピーチウーロンとも)、マリブコーク、マリブパイン、カンパリソーダ、カンパリオレンジ、スプモーニ、チャイナブルー(ライチとブルーキュラソーとグレープフルーツジュース)、アマレットジンジャー、マンゴーオレンジ、パッションオレンジ、メロンボール辺りでしょう。これらも大体割合はリキュールとジュース類などが1対3なので、濃度はジントニックなどの半分、すなわち6.5%程度となります。量も130ml程です。値段も700円です。と言う事で計算した費用対効果は「アルコール1mlあたり約82円」でした。ほぼ倍ですね。

 

 

f:id:OZZ:20140708022041p:plain


次に瓶に入ったドリンクです。これらはRTD(ready to drink)と呼ばれるものです。カクテルとして作らなくてもすぐに飲めるということでしょうかね。これらをRTD系とします。ほとんどのお店で見かけるのは、スミノフ、ZIMA、SKYY辺りでしょうか? スミノフは5%、ZIMAが4.5%、SKYYが4%です。容量は275ml…おや、量が多いですね。しかし値段が少し上がって800円程します。量的にはリキュール系のもののほぼ倍。なので、トータルで飲むアルコールの量はジントニック辺りと同じです。100円アップしますが、ゆっくり飲みたい場合はこちらがいいかもしれません。瓶なので、ダンスしたり人とぶつかっても、こぼしにくいのもいいです。と言う事で代表してスミノフで計算した費用対効果は「アルコール1mlあたり約58円」でした。100円アップが意外に効いていました。


ビールもありますね。ビールは通常5%程度です。氷が入っていないので、ジントニ系と同じグラスかどうかでも差が出ますが、量はおおよそ250mlと思われます。価格は700円。計算した費用対効果は「アルコール1mlあたり56円」でした。
ちなみにライムを瓶の口元に刺すので有名なコロナビールはアルコール濃度が4.5%で、355mlと207mlがあり、大抵はクラブでは小瓶のものだと思われます。こちらは800円するのと、量が少ないので費用対効果では更に劣り「アルコール1mlあたり86円」になります。
更にビールとトマトジュースを混ぜたビールカクテルのレッドアイ、ジンジャーエールを混ぜたシャンディガフは1対1である事が多いので、アルコール濃度は2.5%で、費用対効果は「アルコール1mlあたり112円」となります。

 

 

f:id:OZZ:20140708022104j:plain
さて、一気にキメたいときに飲むのはもちろんショットですよね。自分がキメたいとき、もしくは女の子に飲ませていい気分にさせたい時、酒が強い人が大好きです。ショットにジンジャーエールやソーダを少し入れて飲みやすくしたものがショットガンです。で、ショットと言えばやはり定番はテキーラです。ショットグラスにレモンやライムが乗って出てくるアレですね。テキーラは前出の通りアルコール濃度は40%です。で、量はと言うと、基本は30mlですが、僕の見ている限り実際は15〜25ml程度しか入っていないでしょう。総じて20ml程かなと思います。ショットガンも同様です。ですが値段が600円と少し安くなっているクラブもあるので、多少は配慮されているのでしょうか。少し安くなっているとはいえ、費用対効果は「アルコール1mlあたり75円」です。
アルコールが一気に入るのですが、その効果は5〜10分程遅れて出てきます。その時はまだいけると思っても急速に手遅れになる可能性もあるので、酒に弱い人は注意が必要です。ショットで有名なものにイエガーマイスター、通称イエガーと言うものがあり、アルコール濃度35%です。テキーラより少し優しいですが薬草など色々入っているので好き嫌いが別れます。コーラでショットガンにしてもらうとおいしいです。

 

f:id:OZZ:20140708022149p:plain
あとはワイン系ですね。ワインは平均して白で7〜13%、赤で10〜15%、スパークリングで10〜13%程度です。総じて12%と仮定します。そしてだいたい120ml程度を注いでるとします。値段も同じくらいで700円程ですが、スパークリングだけそれ以上する所もあります。ワインの費用対効果は「アルコール1mlあたり約49円」です。
更にワインを使ったカクテル、赤とジンジャーエールでキティ、赤とオレンジジュースとレモンジュースとグレナデンシロップでワインクーラー、少量のカシスと白でキールキールを白からスパークリングに変えたキールロワイヤル、スパークリングとオレンジジュースでミモザ、この辺りがよく出るかなと思います。もちろん割っているのでキール系以外は、ワインの量は半分程度。なので費用対効果は悪く、倍の「アルコール1mlあたり約98円」です。

 

f:id:OZZ:20140708022221p:plain
そう言えばロックやそれに近いので頼む人もいますね。ロック系と総称しましょう。ウィスキーのロックは当然ですが、あとはジンライムもジンにライムジュースとライムをくわえただけなので、ほぼロックです。平均して40%程度のアルコール濃度で、これらはシングル=30mlで出されます。価格はジントニック系と同じく700円程度です。30mlなので費用対効果も同じですね。ただ、それらを一気に飲めば多めのショットを飲んだ事になります。ちなみに銘柄を指名するともちろん高くなります(全てのドリンクに言えますが)。


果実酒系を頼む人もいますね。梅酒や杏露酒ですね。これは置いていないクラブもあります。大体アルコール濃度が10〜15%程度です。間を取って12.5%で考えます。価格はジントニック系と同じく700円程度です。ロックにしてもソーダ割りなどにしても入れるのは30ml程度なので、ジンなどと比べてアルコール濃度が約3分の1程度と低い事を考えると、費用対効果も約3分の1となり、「アルコール1mlあたり約187円」となり、上記全ての中で費用対効果が最悪です笑

 

f:id:OZZ:20140708022242j:plain
さておおよそ網羅したかと思いますが、忘れてました。僕が好きで一番飲むやつを笑。それはバカルディ151…じゃねーよ!置いてねーよ!好きじゃねーよ!!
え、ロングアイランドアイスティ(以下ロンアイ)です。知ってる人も多いと思いますが、これはノンアルコールではありません。むしろかなりアルコールが強いものです。ロンアイは、ラム15ml、ウォツカ15ml、テキーラ15ml、ジン15ml、ホワイトキュラソー15ml、レモンジュース10ml、そこにコーラを混ぜたものです。なのになぜかアイスティの味がします。
それで計算すると40度のアルコールが75mlと、残りのグラスの容量を考えるとレモンジュースとコーラで75mlになり、おおよそ150mlです。アルコール濃度が20度程度の飲み物、と言う事になります(もちろんレシピにもよりますが)。しかし料金は1000円します。ジントニックの300円アップですね。もちろんドリンクチケット一枚では買えません。費用対効果は「アルコール1mlあたり約33円」でした。おやおや??
ところがこれもクラブでは15ml入れる所を10ml程度にしているバーテンもいるので、その場合はアルコール濃度は13%程度になります。こうなると費用対効果は「アルコール1mlあたり約51円」になってしまいます。偽ロンアイですね笑
余談ですが、これをバーカウンターが混んでいるときに頼むとバーテンに嫌われます笑。なぜなら入れるものが多くて面倒くさいから。逆にガラガラのときに頼むと暇つぶしになるので喜ばれるかもです笑。

さて、色々みてきましたがまとめてみた結果です。費用対効果の高い順に並んでいます。

1位 ロングアイランドアイスティ(33)

2位 ジントニ系(41)、ロック系(41)

3位 ワイン系(49)

4位 偽ロンアイ(51)

5位 ビール系(56)

6位 RTD系(58)

7位 ショット系(75)

8位 コロナ(86)

9位 リキュール系(82)

10位 ワインカクテル系(98)

11位 ビールカクテル系(112)

12位 果実酒系(187)


どうでしたか?週末にロンアイの嵐が吹き荒れ、バーテンの機嫌が悪くなる事が容易に想像できますよね!いや、このブログ、そんなPV数ないです笑
でも費用対効果なんてチマチマしょうもない事は気にせず、飲みたいものを飲み、騒ぐのがクラブですよ。逆に酔いたくない時はリキュールベースのカクテルや、ワインやビールのカクテルがいいって事ですね。
それとアルコールは時間で分解されもするので、強いけど時間をかければそんなに酔いませんし、弱くても一気すれば酔います。ショットが酔うのはもちろん一気に入るからですね。

 

参考までに市販で酒を買うとこんな感じです。

スミノフアイス275mlで約250円なので「アルコール1mlあたり18円」。

缶ビール330mlで約200円なので「アルコール1mlあたり12円」。

ビーフィータージン700mlで約1000円なので費用対効果は「アルコール1mlあたり3.5円」です・・・。

 

 

 

 

・・・見なかった事にしてクラブいこ。

 

 

 

 

クラブナンパの、X・Y・Z

 

その日もいつものように六本木のV2に入った。エントランスでお金を払うと、奥に続く廊下が紫色をしたフロアへ広がっている。来た、という実感。徐々に溢れ出す音響。またAlexandra Stanがかかっている。僕が入店する時はいつもこの曲に出迎えられているような気がする。俺はMr. Saxobeatではないし、どちらかと言うとMr.Childrenだけど…そんなことはいい、そろそろアレクサンドラ、ニューアルバムの話でもしようぜ。

 

f:id:OZZ:20140627153647p:plain


エントランスでもらったドリンクチケット。僕はそのチケットを財布にしまうとバーカンを横目にフロアまで突き抜けた。既に酔った僕にはお酒はあとでいい。それよりなんだよ、今日もまだ誰もフロアにいないじゃないか。もう1時半だけど?何しにきたの?まぁいいんだ、音楽を聴きながらお酒を飲むのも、踊るのも、ナンパするのも全てが自由だ。好きなように遊べばいい。僕の心は、次に流れる音楽が何か、そんな事に夢中だった。



突然だが勝手な事言う。
近頃、クラブでナンパがめんどくさくなった。厳密に言えば容姿的にいいなと思う子はいるし、そんな彼女たちに選ばれる側の男になったつもりもないが、感覚的にナンパへの気持ちが乗らない、そう言えばいいだろうか。
そういうとごまきさんには(今回もご出演頂いた)、嘘でしょ、勇気がないだけでしょ、逃げでしょ、てかストリートやれよ、って言われる始末の週末をこの前も繰り返してきた。「反応のいい子がいたらすぐ浮かれるくせに」…って、なんでそんなに人の心読めるかなぁ、痛いとこ突かせたらラオウ並みじゃないの? で、まぁその通り。僕は鉄人じゃないし、対人関係で些細な事に一喜一憂する事から、結局は逃げ切れていない。まぁ逃げ切れていない、と言うよりは自分や相手の様々な色をした感情の機微を、全部垂れ流してしまう事をあえて眺めて楽しんでしまっている、と言う事のほうが気分かもしれない。

だってセックス中に考える事ってなんだい?
あ、これで即報告できる。今回は21JD即!だな。遂にテ●ンから崩せたぞ。この子意外にフ●ラがうまいな、でも咥える事しかしない系だな。意外に口臭がするな。背中の毛濃いな。めちゃくちゃ内股が柔らかいな。髪はいい香りだけど、さすがに仕事後の頭皮はあれよね。可愛い下着でしょって僕はピンクのレースなんて可愛いと思ってねーよ? あ、乳首離れ気味。
ひいては狭い、硬い、柔い、エロい、美しい、気持ちいい…ほとんど形容詞!!

け・い・よ・う・し!!!

現実なんてそんなもんじゃない?
そうじゃないセックスもあるよ? もはや形容しがたい果てしない深淵へと頭から落下したかと思うと、毛穴が総立ちして呼吸を始めるような震え、そして元々同じ螺旋のつながりだったかのような一体感。(アレを残さず打ったりはしておりません)
なんだろう、セックスって、相手と話をしつつも、なんだかいい意味で口数が減って、二人の気持ちが、雪が降り始めた時のようにしんとして、目と目があったかと思うと、お互いの瞳の奥に超新星爆発のような輝きを捉えて、そして瞬間、目線が唇に移ったかと思うと、二人の距離が引力で吸い寄せられるようにみるみる縮んで、キスをする、その瞬間がハイライトだと思うんだよね。その吐息が混じり合う瞬間。
Stay the nightで言うAre you gonna stay the night?って歌詞の後の、間の無音と爆発の瞬間ていうか。(まさに歌詞通りじゃないか)
まぁその後もEDMよろしく、ノリノリになるけど、そこはもうスイングバイで飛び出した恋人たちのボイジャーだから。勝手にオールトの雲まで旅して下さいよ。

んな事はどうでもいいよ!!
よくないけどいいよもう。何が言いたかったかって言うとセックスそのものより、水たまりにうっすら滲むアスファルトの油みたいに、虹色の不純物を不純物のまま美しいとか思ってしまうって言う事なんだよね、さっぱりわからないだろ? もう一度だけ説明すると、セックスそのものより、水たまりにうっすら滲むアスファルトの油みたいに、虹色の不純物を不純物のまま美しいとか思ってしまうって言う事なんだよ。大事な事なんで2度言った。

 

f:id:OZZ:20140627154842p:plain

 

話を戻す。
僕はエントランスを抜けてフロアに出た。そしてクラブですれ違うたくさんの女性を見て何を思っているか、折角だから赤裸々に書こうではないか。
まず目が合う、この子可愛いなと思う、そして服装を見る、クラブによくいるなと思う、性格はどうなんだろう、いいかもしれないし悪いかもしれない、あ、私ってイケてるでしょって顔してるわ、まぁこんな子どこにでもよくいるわな、どこにでもいるならいいや、ナンパめんどくさい、Dear Boyや、踊ろう。
これが一連の流れだ。これが一般的なナンパ師だとするとこうだ。
まず目が合う、この子可愛いなと思うと同時に歩み寄り「やぁ、パーティでも…」
まぁさすがに、どんなオープンしようかとか、服装いじれるかとか観察してるけれど。
こんなのもある。
まず女の子が歩いてくる、セックスできるレベルか見る、できる、腕掴む。
ヒヨコの雄雌判断師みたいだ。酔ったらたまにやるけどね。意外に捕まるよね。でもそんな時はもはや目的は、棒を入れられる穴探しだ、相手の性格も何もほんの数時間いるだけだし、こっちも誤摩化せる。もしかしたらいい子かもしれないよ?しれないけどさ…。
まぁ僕の状態はいわば六本木地蔵学科…じゃなくて声をかけれなくなる地蔵化の流れだ。自己完結で何も行動を起こさず、結局行動からしか良くも悪くも結果など生まれないのに、何もできなくなることの始まりだよ。チキンの始まり、いわばKFCだよ。カーネルサンダースもいつも店前で地蔵してる。

そうして3:30になった。一緒に入った友達はみ〜んなきれいに連れ出しかなんかして見当たらなかった。(探してないけど)
往々にしてナンパのゴールデンタイムとクラブのゴールデンタイムと言うのは重なるもので、僕はただ踊るのが楽しくて楽しくてしょうがなかった。
初めて渋谷のアクシスに行った時はノリ方も、曲も何もわからなかったのに。なんだか踊るのすら恥ずかしくて、隅でじっとしてた時もあった。そして同じ狢の友達とフロアに行って、見よう見まねで前のお兄さんのダンスを踊り、ある時は女の子に教えてもらい、深夜にYoutubeでダンスのビデオを見たり…気が付くと踊る事が恥ずかしい事から、踊らない事が恥ずかしい事になっていた。
クラブっていう非日常が日常になって、クラブ友達が誰もいなかったのに、今は週末にクラブに行けば、いつも友達がいる…。
別にマニアックな音楽に詳しくもないし、音の善し悪しも正直わからないし、言ってみればにわかだけれど、楽しいかどうかは僕自身が決める事だ。
実はここから本題なんだけど、そんな踊りが楽しい絶頂に、フロアで横に女の子がいる。僕はただ楽しくてなんならクラブって言う共有空間で、なんて素晴らしい時間なんだ、っていう気持ちを込めてただ女の子に笑顔を見せる。別に強引な接触も、会話も何もしていない、求めてもいない、一瞬笑顔でそれを伝えるだけ。そうして女の子は、モディリアーニの絵画のようなシラケた白目をむいて、それをスルーする。僕はマグリットの絵画のように顔面に青リンゴをぶつけられたようだ。だれか、ラムとコアントローとレモンジュースを僕に飲ませてください。

真実はいつも人の気持ちを汲んで、優しく答えてくれる訳はない。どちらかと言うと我々は生き残るためにあらゆる事を欺くとこで、進化し、子孫を残せてきた。欺き、裏をかけるものは、真実をそのまま扱うものより、一つ裏側にいる事によってその知恵で勝ち残ってきた。ありのままをありのままで受け入れられる人間が、果たして世の中に、クラブにどれほどいるか。それができれば余裕とも取れるし、バカとも言えるし、賢者かもしれないし、運命かもしれない。
人の裏をかいたり、コントロールするにはその相手より1.5倍とか2倍のエナジーがいる。相手がエナジーが強ければそれだけこちらもエナジーが必要だ。相手の得意としてるクリティカルなエナジーだけ制すればいい事もあるし、総合的に平均より上を出し続けないといけないこともある。
クラブにおいて、素直にありのままに、誠実さや真面目さを語っても仕方ないんだよ、だって誰もあの場でそんな理性的高等人格は求めちゃいない。それよりもっと男としてのエナジーだ。あんな空間だからこそ誰もが数時間なら誤摩化せる可能性があるじゃない。男から見てもこの男は魅力的だ、なんてこと。猿山のボス猿がわかりやすい。

と、まぁこんなことにはエナジーがいるから、最近クラブでナンパする気がしないってこと。元々の自分の気質から四速くらいまでシフトチェンジしないといけないからかもしれないし、その方法を身体化する以前に失速したからかもしれないけど。

言い訳はすなわち恐怖であり、それは私を守り、同時に制約し続ける寄生虫のようなもの。